
平成
ユーロ危機・イギリス離脱への道
2011年②(平成23年)
ニューズウィーク日本版(表紙)
テキスト本文
2011年②(平成23)ユーロ危機・イギリスEU離脱への道
2008年(平成20)にリーマンショックが発生し、その影響はオランダやフランスに飛び火し、それらの国の大手銀行が相次いで破綻した。2009年(平成21)秋にギリシャの政権交代による前政権の国家財政の粉飾決算が暴露されて発覚し、財政赤字の実態が予想以上にひどいことを政府が認めたことで、ギリシャ国債が返済可能かの「ソブリン危機」が起こり、世界金融危機の第二幕が切って降ろされた。この信用不安に欧州の単一通貨ユーロの信用も低下したが、欧州連合(EU)自ら、国際通貨基金(IMF)とともにギリシャ救済に乗り出した。その後、アイルランドも財政破綻し、ポルトガルなど南欧諸国を中心に財政赤字比率が高い国に信用不安の連鎖が及び、スペイン・ポルトガルなどユーロ加盟諸国、あるいはハンガリーやラトビアなど中東欧諸国へ波及して世界的な金融危機に発展するかと懸念された。2011年(平成23)以降も、ユーロ圏第3位のイタリア情勢が深刻化するなど、欧州不安は広範囲に拡大し、危機が沈静化するには長い時間を必要とし、8年後の2018年(平成30)8月に震源地のギリシャがEUの金融支援から脱却した。ところが、その8年の間に、2014年(平成26)の欧州議会選挙でEU に懐疑的な諸政党が記録的な支持を集め、2015年(平成27)には、100万人もの移民・難民が中東から押し寄せ、2016年(平成28)にはイギリスのキャメロン首相がEUからの離脱の是非を問う国民投票を実施したが、 イギリス国民はまさかのEU離脱を選択した。(※2021年1月1日午前0時にEUから離脱)
年表
《世界の動き》
・2011年、チュニジアの「ジャスミン革命」(1月)
エジプトなどアラブ世界に波及
・2011年、ブラジル初の女性大統領(ルセーフ)就任(1月)
・2011年、日本政府、人民日報に支援感謝メッセージ(4月)
・2011年、初の「国連国際寡婦デー」(6月)
・2011年、中台間の個人旅行が解禁(6月)
・2011年、IMF)の専務理事に初の女性のラガルド就任(6月)
・2011年、高速鉄道脱線転落事故発生(7月)
・2011年、中国のハイアールが三洋電機白物家電部門買収(7月)
・2011年、タイ初の女性首相にインラック首相就任(8月)
・2011年、サウジアラビア、2015年の地方議会選挙から女性
参政権を認めると発表(9月)
・2011年、デンマーク初の女性首相が就任(10月)
・2011年、北朝鮮で金正日総書記が死亡(12月)