
平成
平和安全法制の成立
2015年(平成27年)
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2015年(平成27) 平和安全法制の成立
第3次安倍内閣は、2015年(平成27)5月14日、国家安全保障会議及び閣議において、平和安全法制関連2 法案を決定し、衆議院に提出した。衆議院では5月19 日、特別委員会が設置され、7月15日に同特別委員会で可決、7月16日に本会議で可決された。参議院では、9月17日に「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」で可決された。安倍首相は、「国民の命と平和な暮らしを守り、国の存立を全うするために必要」「我が国を取り巻く安全保障環境が変化したために必要」などと語り、過去には具体例として、自衛隊は「海外に住む日本人」が紛争に巻き込まれたとしても、現行の法律では守ることができないと説明していた。『我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に際して実施する防衛出動その他の対処措置、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に際して実施する合衆国軍隊等に対する後方支援活動等、国際連携平和安全活動のために実施する国際平和協力業務その他の我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するために我が国が実施する措置について定める必要があることが、法案の提出理由』であると述べ、2015年9月に『平和安全法制』が整備された。「武力攻撃事態対処法」では存立危機事態が設けられ、「周辺事態法」は「重要事態安全確保法」と異例の名称変更がなされた。日本はこの法制により事態に応じ必要な戦時行動を採れることとなった。存立危機事態とは「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と定義され、重要影響事態とは「そのまま放置すれば、我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び 安全に重要な影響を与える事態」と定義され、支援対象には米軍も含まれ、対応措置には①後方支援活動 ②捜索救助活動 ③船舶検査活動 ④その他の措置があった。そして以下の10の法律を一括して改正した。 ①自衛隊法②国連PKO協力法③周辺事態に際して我 が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律④周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律⑤武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律⑥武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律⑦武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律⑧武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する 法律⑨武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律⑩国家安全保障会議設置法。民主党政権の尖閣諸島の国有化により生じた将来に起こりうるかもしれない周辺危機事態・日本の存立危機事態に対し、自民党政権により、日米同盟の深化という形で応急処理がなされ、日本の安全保障政策は歴史的な大転換となり、 後年度負担は大幅に増額されることとなった。平和安全法制成立以降、米軍等の部隊の武器等防護(自衛隊法第95条の2)の適正運用のためとして、翌2016(平成28)年12月の国家安全保障会議において、その運用指針を決定し、米軍を対象に、同条の運用が可能となり、従来の日米同盟は大きく変容することとなった。
年表
【2015年(平成27)】
・1月 サイバーセキュリティ基本法が施行
・3月【女性】初の「同性パートナー条例」(東京都渋谷区)
・4月 日経平均株価が2万円台(15年ぶり)
・6月 改正公職選挙法 で選挙年齢が18才以上に
・9月「安全保障関連法」成立(集団的自衛権の行使
容認、翌年3月施行)
・10月「マイナンバー法」が施行
・ジェンダー・ギャップ指数は、145カ国中で101位
《世界の動き》
・2015年、中国で「国家安全法」成立(7月)
・2015年、ユネスコ、南京事件資料を世界記憶遺産に(10月)
・2015年、ミャンマー、民政移管後の総選挙でアウンサンス
ーチー率いるNLD圧勝(11月)
・2015年、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)が正式
発足発足(12月)
・2015年、パリでISが同時多発テロ(11月)
・2015年、中国で「反テロ法」成立(12月)
・2015年、従軍慰安婦問題で日韓合意(12月、翌年に頓挫)
・2015年、「パリ協定」 (地球温暖化)が締結(12月)
・2014年、中国人民元が日本円を初めて上回り、世界第4の
国際通貨に