
平成
北朝鮮のミサイル・核開発②(2004~2018)
2017年(平成29年)
2016年/平成28年
2018
2016年/平成28年
テキスト本文
2017年(平成29)北朝鮮のミサイル
・核開発❷(2004〜2018)
金日成の死亡1年前の1993年(平成5)と2003年(平成15)の2度にわたり核拡散禁止条約(NPT)から脱退した北朝鮮は、2005年(平成17)2月、いよいよ核保有を公式に宣言した。その2005年9月、久々の6か国協議が開催され、北朝鮮の完全核放棄とNPTへの復帰などを盛り込んだ共同声明が出されたが、わずか2日後に、アメリカ政府がマネーロンダリング(資金洗浄)容疑でマカオの北朝鮮関連口座を封鎖したことで、話は振り出しに戻ることとなった。2006年(平成18)7月、テポドン2(弾道ミサイル)などの発射実験を複数回繰り返した後の10月9日、北朝鮮が「最初の地下核実験に成功」と発表するにいたると、日本政府は即座に反応し、発表2日後に独自の経済封鎖を発動、その後の10月14日、国連安全保障理事会も制裁決議を採択し、 国際社会の北朝鮮に対する風当たりはより厳しいものとなった。「核カード」を手にした北朝鮮は、以降は、核弾頭を搭載するためのミサイルの発射実験を活発化、2007年(平成19)には中距離弾道ミサイルを発射、翌年2008年(平成20)にいたっては、核計画申告書の 中国提出を条件にアメリカは「テロ支援国家指定」の 解除を決定した。2009年(平成21)4月にミサイル発射、5月25日、2度目の核実験成功させた後、2010年 (平成22)9月、核開発を主導する金正恩が朝鮮人民軍 大将に就任、心臓病により翌年に69才で病没する父 (金正日)の後継者に確定した。そのような状況に変化が始まったのは、金正恩が党第一書記・国防委員会第一委員長に就任して北朝鮮の全権を掌握した2012年 (平成24)のことで、恒例の軍事パレードで実物や実物大模型の新型ミサイルを誇示し、2013年(平成25)2月に3度目の核実験に成功し、翌3月、経済建設と核開発を同時に進める「並進路線」を国家方針に決定した。 2014年(平成26)後半以降は新型ミサイルの発射実験が年6回以上と急増し、2016年(平成28)1月、4度目 の核実験、初の水爆実験に成功してからは、4月15日 の故金日成主席の生誕記念日(太陽節)には、「ムスダン」の初の発射実験を実施(失敗)し、4月28日に2回(失敗)、5月31日に1回(失敗)、さらに6月22日の1回目 の発射実験(失敗)では150㎞飛翔、同日の2回目の発射は、高度1000km以上、水平距離400㎞を飛翔して日本海に落下するという技術水準を飛躍的に向上させた。さらに9月、5度目の核実験、翌年の2017年(平成29)3月6日、スカッドERとみられるミサイルの同時発射実験を実施、さらに9月には6度目の核実験に成功すると、さしもの強硬姿勢のトランプ政権は、先制攻撃を仕掛けて金正恩を実力排除する「斬首作戦」 や「北朝鮮空爆」の現実味が増し、核弾頭を搭載した弾道ミサイルで針ネズミのように武装した北朝鮮を取り巻く半島情勢は今までになく緊迫し、地上発射型に改良された「北極星2号」(中距離弾道ミサイル)「火星15」(ICBM)などを配備し、核弾頭を搭載して米軍基地を射程内に収める1000キロ以上飛翔するミサイル が移動式発射台から発射できる能力を国際社会に見せつける北朝鮮とアメリカとの対立はかつての「キューバ危機」に匹敵するまでにヒートアップ、「世界終末時計」は2017年には2分30秒、翌2018年(平成30)には、さらに2分まで進み、この年に冬季五輪の平昌(ピョンチャン)オリンピックも風前の灯と思われた。3月5日に韓国大統領(文在寅)の特使(国家安全保障室長)が訪朝して金正恩と会談、そこで4月末に軍事境界線(38度線)に位置する板門店の韓国側施設(平和の家)での南北首脳会談に合意した。3月29日の閣僚級会合で、日程が協議 され、いよいよ世紀の一瞬が4月27日と決定した。その日は世界中のメディアが中継放送する中、先に到着していた韓国大統領に対して、午前9時27分頃、北朝鮮の若い指導者(金正恩)が互いに歩み寄って38度線越しに握手を交わし、歴史的な首脳会談が実現した。その後の6月には、シンガポールにてトランプ大統領・ 金正恩の史上初の米朝首脳会談が実現し、「朝鮮半島 の完全非核化の実現」では合意したものの、北朝鮮の 具体的な核放棄を伴う非核化プロセスについては、経済制裁の解除を先に臨む北朝鮮側の思惑と、先に核廃棄を要求するアメリカ側の思惑がすれ違うこととなった。その後の2019年(平成31)2月にはアメリカ・北朝鮮の友好国のベトナムのハノイで2回目の米朝首脳会談が準備され、具体的な成果は得ることはなかったが、「世界週末時計」の時計の針を止めるには成果のある首脳会談だった。
年表
【2017年(平成29)年表】
・2月 森友学園への国有土地売却に疑惑
安倍首相が訪米、トランプ大統領と初会談
・3月 南スーダンへのPKO活動終結
・5月 加計学園獣医学部の認可疑惑
・6月 改正組織犯罪処罰法(テロ等準備罪新設)成立
・7月 九州北部で記録的豪雨
国連の核兵器禁止条約採択に日本が不参加
「 宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界文化遺産に
・8月 陸自駐屯地にミサイル迎撃のPAC3が配備
北朝鮮ミサイルにJ-アラート発動
・9月 希望の党、立憲民主党が結党
・10月 衆議院議員総選挙
・11月 第4次安倍内閣が発足
トランプ大統領が初来日
・ジェンダー・ギャップ指数は、144カ国中で114位
・この年、訪日外国人約2800万人(中国人730万人、台湾約
460万人、香港約220万人)
《世界の動き》
・2017年、トランプ大統領が就任、TPP離脱の署名(1月)
・2017年、金正男氏、マレーシアの空港で暗殺(2月)
・2017年、イギリスがEU離脱を正式表明(3月)
・2017年、シリアのアサド政権が、反体制派へ爆撃(4月)
・2017年、 北京で経済圏構想「一帯一路」首脳会談(5月)
・2017年、米大統領が「パリ協定」離脱表明(6月)
・2017年、北朝鮮が6度目の核実験(9月)
・2017年、ミャンマー、イスラム系ロヒンギャ難民対立(8月)